毎朝、船から魚が水揚げされる小さな港町。日本中から行列ができるチーズケーキ。そしてこの町だけでしか味わえない麺料理。小樽は北海道で最も知る人ぞ知るグルメの隠れ家かもしれません。
19世紀にニシン漁で栄えた港町を思い浮かべてみてください。今ではその石造りの倉庫の隣に、文字どおり今朝湾から揚がった魚を握る寿司カウンターが並んでいます。それが小樽です。札幌から快速で32分。それでいて、お皿にのる海鮮はまるで別世界です。
私たちの言葉を信じる必要はありません。三角市場で海鮮丼を頼めば、すぐにわかります。分厚いサーモン、琥珀色に光るいくらの粒、甘いホタテ、そして運がよくて時期が合えば、とれたてのウニまで、ぜんぶが温かいごはんの上にどっさり。それで¥2,000以下です。同じ丼を東京で食べたら倍の値段でしょう。
海鮮だけではありません。小樽にはあんかけ焼きそばがあります。とろみのあるソースをかけた焼きそばで、この町だけ、日本のほかのどこにもない一品です。そしてLeTAO。北海道の乳製品を使った二層仕立てのチーズケーキは、全国で最も真似された洋菓子のひとつで、やはり本場で食べるのが一番です。小樽の味を丸ごと物語る6品を選びました。
どれだけ小樽らしいかでランキングしました。本当にここでしか食べられないものから始めます。
1
はっきり言ってしまいましょう。小樽の寿司は、東京で食べられるものの多くより上です。職人の腕が必ずしも上だからではなく、店から歩いて行ける距離で魚が水揚げされているからです。石狩湾からは、濃いオレンジ色のサーモン、大ぶりの甘エビ、新鮮なホタテ、冬のヒラメが届きます。花園地区の寿司屋通りには、職人が目の前でネタを選ぶ本格的なカウンター席から、気軽な回転寿司まで、質の高いお店が20軒以上並んでいます。値段はこのレベルにしては思った以上にやさしいです。
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日本のグルメ写真でよく見る、海鮮がてんこ盛りのあの丼。その多くは三角市場や小樽駅の近くで撮られたもので、実物もまさにあのとおりです。ここの定番の海鮮丼は、温かいごはんの上に3〜5種類の生の海鮮をのせ、トッピングは自分で選べます。ズワイガニ、いくら、ウニ、それとも全部のせ?「特上」の丼ならぜんぶいけます。値段は質に見合った良心的なもので、三角市場は文字どおり駅から徒歩1分です。
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これは日本中でこの一カ所でしか食べられない料理です。中華麺を軽くカリッと焼き、そこに野菜・豚肉・きくらげ・海鮮を煮込んだ、とろりと照りのあるあんをかけます。麺はあんの下でやわらかくなりつつ、ふちは少し歯ごたえが残り、あんが一本一本にからみます。あんかけ焼きそばは1950年代から続く小樽のソウルフードで、町には約100軒の提供店があります。値段も安く、ほとんどの皿が¥1,000以下。観光の合間のランチにぴったりです。
19世紀、小樽はニシンで栄えました。その時代に財を成した商人たちが、今も町の景観を形づくる石造りの倉庫や邸宅を建てたのです。その時代が一杯の丼の中に生きています。ニシン蕎麦は、澄んだだしのお蕎麦に、だしを吸ってやわらかく、ほんのり甘く煮含めた身欠きニシンをのせたもの。ニシンがやさしい潮の香りを添え、澄んだつゆを邪魔せず、海をそっと感じさせます。派手さはありませんが、誠実な一杯。これを食べると、町の歴史を実際に味わえます。
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小樽からおみやげに持ち帰る人がいちばん多いものといえば、これ。ドゥーブルフロマージュは、下半分がひんやりしたマスカルポーネムース、上半分が軽く焼き上げたクリームチーズの層という二層仕立てのチーズケーキです。どちらも北海道の牧場のミルクと地元生産者の卵を使っています。仕上がりは日本ならではの控えめな甘さ。乳の香りが豊かで、1切れ食べても重く感じない軽やかさで、世界の多くの人が思い浮かべる濃厚なニューヨークスタイルとはまるで別物です。LeTAOは1998年から堺町通りにあり、今は札幌や空港にも支店がありますが、本場で、窓の外に昔ながらの町並みが見えるパトスの別館で1切れ食べるのが、やはり正しい味わい方です。
北海道のホタテは世界中に輸出されていますが、産地で食べることには、どんな流通でも再現できない何かがあります。貝柱は乳白色で肉厚。海外で見かけるホタテと比べてもはっきり厚みがあり、甘みは澄んでいて文句なしです。選択肢はいくつか。刺身や寿司で生のまま食べれば、その自然な甘さが余計なものに邪魔されず引き立ちます。あるいは鉄板でバターと醤油(バター醤油)で、ふちが軽くきつね色になり中はちょうど火が通るくらいまで焼くのもいい。三角市場の外では、いくつかのお店がその場で焼いてくれます。1個立ち寄って食べるのは、もう必須です。
使える時間が1日だけなら、いちばん満足できて、いちばん慌てずに回れる順番がこれです。
小樽は端から端まで歩ける広さです。エリアを知っておけば、行ったり来たりせずに済みます。
三角形の屋根の下に約20の店舗が並び、朝早くから開いています。新鮮な海鮮、自分好みに作る海鮮丼、入口で焼いてくれるホタテ。小樽の朝、最初に立ち寄るならここが一番です。トッピングを全種類そろえたいなら11:00より前に。
短い通りに20軒以上の寿司店が並び、本格的なカウンター席からにぎやかな回転寿司まで。どこも安定して質が高いです。注文には基本的な英語で対応してくれる職人さんがほとんど。ランチは夜より落ち着いています。
LeTAOの本店があり、明治時代の石造りの建物が両側に並ぶ通り。北菓楼(北海道のシュークリーム)やいくつかの酒蔵もここに。朝の市場のにぎわいのあと、午後のスイーツとおみやげにちょうどいいエリアです。
古い石造りの倉庫が海鮮料理店やビアホールに生まれ変わっています。運河の雰囲気の中でゆっくり座って食べる夕食に最適。路地にはお蕎麦屋さんやラーメン店がいくつか隠れていて、夜のニシン蕎麦を探すならここです。
小樽の地元の人が、何十年も前から旅行者にすすめてきたお店です。
小樽でいちばん名高い寿司カウンター。看板は最高等級の300kg級カナダ産大西洋本マグロで、脂が見事にのっていて、噛む前に一口ごとにとろけるよう。カウンターに座って、その日いちばん新鮮なものを頼み、職人さんにおまかせで。値段は通りのほかのお店より高めですが、いつもそれだけの価値があります。夜の時間帯、特に週末は予約を。
1軒のお店ではなく、三角形の屋根の下に約20の店舗が集まったもので、7:00から開いています。いくつかは海鮮丼のカウンターを構えていて、並んだネタから自分でトッピングを選びます。指さして、うなずいて、お会計。ほかにも、持ち帰り用の新鮮な海鮮を売る店や、外の炭火の網で焼いてくれる店も。選択肢がいちばん多く、ネタがいちばん新鮮なのは8:00〜11:00。午後でも問題ありませんが、一部の高級ネタは早めに売り切れます。
堺町の観光ストリートの中心となるクリーム色の建物。朝は看板が見える前に、焼き上がる乳製品の香りが漂ってきます。本店では持ち帰り用の箱入りケーキを販売。真向かいのLeTAOパトスにはテーブル席があり、ドリンクと一緒に1切れ店内で食べられます。どちらも訪れる価値あり。本店で箱入りケーキを(保冷バッグつきで)買い、町にいるうちにパトスでとれたての1切れを食べましょう。
あんかけ焼きそばを本気で味わいたいなら、小樽の人がいちばんよく名前を挙げるのが龍鳳です。23種類のソースのレシピがメニューに登場します。海鮮、きのこ、辛口、季節限定。名前を変えただけではなく、本当にそれぞれ違う味わいです。店内は気取らない、昔ながらの地元中華食堂のスタイルで、どの料理も¥1,000以下。現金のみなので、用意して行きましょう。
カウンター店ほどの堅苦しさや値段なしで、北海道の寿司を味わいたいときにぴったり。レーンには地元の定番、北海道ホタテ、甘エビ、サーモン、旬の白身魚が流れ、追加の握りも直接注文できます。ピーク時以外は予約不要。フル料金のカウンター体験まで踏み込まずに、湾の幸の幅広さを手ごろに試せる方法です。
19世紀、小樽は北海道で最も栄えた港でした。その富はほぼすべて、毎春、今では想像もつかないほどの量で湾に集まったニシンから生まれたものです。その漁で財を成した商人たちは、町を見下ろす丘の上に石造りの邸宅を建てました。いくつかは今も博物館として残っています。
ニシン産業は20世紀に衰退しましたが、それが築いた文化は生き続けました。新鮮な海鮮への誇り、ウォーターフロントへの愛着、海から揚がったばかりの魚を好む味覚。この町のアイデンティティは、まっすぐあのニシンの時代へとつながっています。ニシン蕎麦や今朝の獲れたてを盛った海鮮丼を食べるとき、あなたはメニュー以上に深く続く歴史の連なりを味わっているのです。
鰊御殿 — ニシン景気の時代に建てられた裕福な漁業商人の家。今は博物館