排水溝から、舗道の隙間から、何百軒もの屋根から、あちこちで湯けむりが立ちのぼります。別府が見せてくれるのは、ただのリラックスだけじゃありません。じっとしていられない地球の、ありのままの姿なんです。
多くの人は、温泉に浸かって帰るつもりで別府にやって来ます。でも予想していないのが、九州の山あいにカリブ海を移してきたようなコバルトブルーの池や、1,300年以上ものあいだ静かにぐつぐつ煮えている血のように赤い池、まるで剃りたてのお坊さんの頭そっくりに泥がぼこぼこ吹き上がる斜面なんです。どれも人工的に造ったものではなく、すべてただそこにあるもの。別府は、世界規模で見ればイエローストーンを除けば日本のどこよりも多くの温泉を湧き出させています。2,800を超える源泉から、1日あたり約13万キロリットルもの湯量です。
そんな別府を正直にお伝えする6つの外せない体験をまとめました。それぞれが実際どんな感じなのか、いくらかかるのか、回るベストな順番、そして机上で考えたのではなく実際に試した1日・2日のルートまでご紹介します。
旅を終えたあとに一番話題にのぼるもの順に並べています
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みんなが最初に聞くのが、なぜ「地獄」なの?という疑問。答えは、湯温が90〜99℃もあって、とても人が入れるものではないから。その代わりに見られるのは、もっと貴重なもの — まるで地球が自慢げに見せつけてくるような、天然の色をした7つの温泉池をめぐるコースです。海地獄:会話が止まるほど鮮やかな、コバルトブルーの温泉。血の池地獄:酸化鉄による深い赤色で、1,300年前の文献にも記録されています。白池地獄:乳白色で不透明、なぜか中で熱帯魚が生きています。かまど地獄:鬼の像が立つ鬼づくしのテーマで、お肌にいい蒸気の体験も。鬼石坊主地獄:灰色の泥が巨大な坊主頭のようにぼこぼこ吹き上がっては弾けます。鬼山地獄:地熱の温かさのなかでワニが暮らしています。龍巻地獄:30〜40分おきにきっちり噴き上がる間欠泉です。
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7つのなかでも、血の池地獄は一番しつこく記憶に残る場所です。この赤色は、地中深くから押し上げられた水酸化鉄と赤い粘土によるもの。同じ色が1,300年以上ここにあり続けていて、8世紀の仏教の文献には、本物の地獄界が現れたものとして記録されています。柴石エリアにあり、龍巻地獄(間欠泉)と隣り合わせ。スタッフが看板で知らせてくれる噴き上がりの時間に合わせて訪れれば、1時間もかからずに両方見られます。ここでは、1879年からこのミネラル豊富な粘土で作られている赤い「血ノ池軟膏」というお肌用の塗り薬も売っています。
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これは多くの人が予定に入れていないのに、一番長く心に残る景色です。湯けむり — まさに「温泉の湯気」のこと — は、鉄輪地区一帯で何百もの屋根、排水溝、壁の隙間、むき出しの地面から、いっせいに白い霧が立ちのぼるパノラマです。街が目覚める前の寒い朝には、まるで町全体が夢を見ているかのよう。日本の環境省は、これを「残したい日本の音風景100選」のひとつに選びました。鉄輪地区には、屋根並みごしにこの景色をぴったり切り取ってくれる高台の展望台があります。そこに立つのは無料です。
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話だけ聞くと変わって聞こえますが、やってみるとクセになります。用意された浴衣に着替え、屋内の砂場に横になると、スタッフが約50〜55℃に保たれた、地熱で自然に温まった黒い砂を首からつま先までかけてくれます。砂の重みがほどよく体を押さえ、熱がじんわり中まで届きます。10〜15分のあと、隣の温泉で砂を流します。マッサージと温泉と、すごく温かい砂浜にやさしく埋もれる感覚のちょうど間くらい。竹瓦温泉は建物そのものも一見の価値あり — 木の天井、きしむ床板、ほぼ100年変わっていない明治後期の造りです。
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このロープウェイは、乗ること自体が体験です。10分の登りのあいだに、眼下の街のあちこちから立ちのぼる湯けむり、水平線まで広がる別府湾、そして晴れた日には伊予灘の向こうに四国の遠いシルエットまで見えます。標高1,375mの山頂には、小さな神社、休憩所、展望テラスがあります。春(4月〜5月)には上の斜面がミヤマキリシマで覆われ、秋(10月〜11月)には紅葉で山がオレンジ色に染まります。天気が崩れると — これがけっこうあるんです — ロープウェイは運休するので、出かける前に状況を確認しておきましょう。
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ここは動物園ではありません。高崎山は、およそ1,000匹の野生のニホンザル(スノーモンキー)が自由に暮らし、登山道のふもと近くのえさ場まで下りてくる、森に覆われた山です。木立のあいだを歩いて入っていくと — 檻もガラスもなく — サルたちがただそこにいます。年老いたオスが岩の上に座り、母ザルが小さな赤ちゃんを背中におんぶし、3匹の子ザルが腰の高さで追いかけっこしながら道を横切っていきます。スタッフが決まった時間に群れにえさをやるので、サルたちが集団で下りてきて、混む朝には一度に100匹以上見られることも。子ども連れには特におすすめ — 近くで見られて、自然のままで、本当に何が起こるか分からない面白さがあります。
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別府タワーは、東京タワーを手がけたのと同じ建築家によって1957年に建てられ、この種のタワーとしてはアジアで現存する最古のものです。今の基準では高くありませんが、展望階からの眺めは、ロープウェイでは捉えられないものを見せてくれます — 湯けむりが立ち、低層で、霧に半分隠れた街と、その背後に広がる湾との関係です。夕暮れには海が銀灰色に変わり、もやの向こうに街の灯りがともります。タワーは別府のメイン商店街のど真ん中にあるので、夕方の散歩やディナーと組み合わせるのに、特別なプランニングはまったく要りません。
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観光客がつい急ぎ足で通り過ぎてしまう鉄輪の2つの地獄は、ゆっくり時間をかける価値があります。かまど地獄は、仏教の地獄の厨房をテーマに造られていて — 門には大きな赤い鬼の像が立ち、温度の違う小さな池が6つほどあり、やさしく噴き出す蒸気に顔をかざしてお肌を整えられる蒸気のブースもあります(約45〜50℃で、ちゃんと我慢できる熱さです)。白池地獄はほかより静かな雰囲気。シリカとカルシウムで色づいた淡い乳白色の水で、ほかの池より浅く、そして驚くことに、温かくミネラル豊富な水のなかで生きる熱帯魚のすみかになっています。どちらも鉄輪エリア内にあり、海地獄から歩いて行けます。
別府の見どころはコンパクトにまとまっているので1日でも十分。2日あればゆったり楽しめます
8:00〜8:30 鉄輪で湯けむりの朝の眺め(街が目覚める前が一番湯気が濃い)· 8:30〜12:30 地獄めぐり鉄輪エリア — 海/かまど/白池/鬼石坊主/鬼山(最初のゲートで共通券を購入、道すがら蒸し料理をつまみつつ)· 12:30〜13:30 鉄輪でお昼(地元の食堂は¥1,000〜1,500から)· 13:30〜15:00 亀の井バスで柴石へ → 血の池地獄 + 龍巻間欠泉 · 15:30〜16:30 別府中心部に戻って竹瓦温泉の砂湯(混む週末は事前予約を)
1日目:上の1日ルートをそのまま。夜:公衆温泉に浸かり(公衆温泉は¥100〜200から)、駅前の商店街を散策 · 2日目午前:高崎山自然動物園(8:30開園 — 朝はサルが大きな群れで集まります)· 2日目午後:鶴見岳ロープウェイ(まず天気を確認)— 10分で標高1,375mへ · 2日目夜:夕暮れの別府タワー + 港近くで海鮮ディナー
大分空港(OIT)から:エアポートライナーバスでJR別府まで直通約45分、¥1,500 · 福岡から:特急ソニックで約2時間、¥4,000〜5,000(JRパス利用可)· 大分市から:JR九州の普通列車で15分、¥200 · 別府市内:亀の井バスがすべての見どころをカバー。1日丸ごと回るなら1日券¥1,100がお得です
別府には2,000を超える源泉があり、まとめて「別府八湯」と呼ばれる8つの個性豊かな温泉郷に分かれています。地区ごとに泉質も湯の色も雰囲気も違い — 竹瓦の砂湯から、鉄輪の地獄蒸し、硫黄で黄色く濁った湯がある明礬の山あいの旅館まで、さまざまです。各地区の詳しいガイドはこちら — 別府温泉ガイド →