1日目の早朝の川沿いの朝市から、3日目に訪れる白川郷の築300年の茅葺き民家まで。多くの旅行者が素通りしてしまう日本の姿へ、このプランがご案内しますね。
正直なところをお話ししますね。1日あれば、三町筋、宮川朝市、高山陣屋がまわれます。多くの人がまさにこれを目当てに訪れる場所です。2日にすると、飛騨の里(池のまわりに移築された合掌造りの民家が30棟以上)と新穂高ロープウェイが加わります。標高2,156mに立って、ギザギザした北アルプスを真正面から眺められますよ。3日あれば白川郷への日帰り旅も。今も人が暮らす合掌造りのユネスコ世界遺産の集落で、季節ごとにすっかり表情が変わります。夏は鮮やかな緑、秋は紅、冬は雪にすっぽり包まれます。
3日間とも、古い町並みの中はすべて歩いてまわれます。1日目と2日目はレンタカーも要りません。ややこしい電車の乗り換えもなし。歩きやすい靴を用意して、最低でも一晩は昔ながらの木造の宿に泊まれば、あとはまちが楽しませてくれますよ。
人が増える前の川沿いの朝市 · 江戸時代のまま時が止まった三本の通り · 日本でただひとつ残る陣屋 · 何年たっても語りたくなる飛騨牛
観光バスが到着する前、宮川朝市には8時前に着くのがおすすめです。川沿いに屋台が並び、手作りの漬物、焼きたてのみたらし団子、山菜たっぷりの蒸したおやき、そして飛騨の縁起物・赤いさるぼぼのお人形などを売っています。市は宮川沿いに約300mつづいていて、ぶらぶら歩くのは無料ですよ。
朝市のあとは中橋を渡ってみてください。朱塗りの木の橋で、いまや高山のシンボルになっています。橋の上から、谷の両端を山に縁取られた川上の景色を眺めると、朝6時半に目覚ましをかけた甲斐があったと思える一枚に出会えますよ。
ここが高山の中心です。一之町・二之町・三之町という三本の通りが平行に走り、江戸時代(1603〜1868年)から建つ黒っぽい木造の商家が軒を連ねています。酒蔵は入り口の上に杉玉を吊るしています(杉の葉でできた玉の飾りで、できたてのころは緑色、だんだん茶色くなって新酒の仕込みができたことを知らせます)。味噌屋さん、漆器のギャラリー、何百年も前の建物を生かした個人経営のカフェなども見つかりますよ。
20分ほど時間をとって、現役の酒蔵に入ってみてください。平瀬酒造(1744年創業)や舩坂酒造店は、どちらも無料の試飲で出迎えてくれます。飛騨の酒は、北アルプスでろ過された雪どけ水で仕込まれています。クリアでまろやか、平地で造られる酒とはっきり違う味わいですよ。
陣屋に入る前に、まずお昼を。高山では飛騨牛が都会よりずっとお手頃です。陣屋前朝市の近くの屋台では、飛騨牛にぎり1貫が¥500〜650、座って食べられるセットコースなら¥1,500〜3,000くらいです。飛騨の高原の山の牧草地で育った和牛で、霜降りはまるで石のように細やか、バターのようなコクのある味わいはスーパーの牛肉とはまるで別物ですよ。
お昼のあとは高山陣屋へ。江戸時代の陣屋の建物が、当時のまま元の場所に残っているのは日本でここだけです。1692年から1969年まで途切れることなく使われつづけ、277年にわたって行政や年貢の取り立て、裁きの場となってきました。執務室や文書を保管する蔵、そして厳めしい御白洲(取り調べの間)まで歩いてまわれます。見学は45〜60分、入場料は¥500です。
夕方近くになったら、高山を代表する神社桜山八幡宮へ歩いてみましょう。高い杉の木々に囲まれ、石畳の参道を進むと、下のまちとはまったく別世界のような気持ちになりますよ。神社のすぐ隣には高山祭屋台会館があり、高山祭で使われる絢爛豪華な祭屋台のうち11台が展示されています。これらはレプリカではなく、すべて本物です。彫刻や刺繍をほどこした絹、金箔の漆塗りで飾られていて、何百年もの職人技が詰まっています。入場料は¥1,000。日本の職人の手仕事が好きな方には、本当に行く価値がありますよ。
そのあと、もう一度だけ夕暮れの光のなかで三町を歩いてみてください。日が暮れると酒蔵の前の提灯に灯がともり、黒い木肌にやわらかな金色が映えます。通りから人が引いて、雰囲気ががらりと変わります。これこそ、みんなの記憶に残る高山の姿ですよ。
飛騨各地から移築された30棟の合掌造り · 地元の人が毎朝歩くお寺沿いの遊歩道 · 北アルプスと目線がそろうゴンドラ
開門は8時半。早めに行きましょう。飛騨の里は合掌造りの民家が30棟以上集まる野外博物館で、飛騨の高原のあちこちから移築され、伝統的な山の建築をそのまま体感できる生きた資料館になっています。「合掌」とは手を合わせて祈る形のこと。急勾配の茅葺き屋根は雪が自然に滑り落ちるほど傾斜が急で、その角度のおかげで、住まいの上に3〜4階分の収納や養蚕のための空間が生まれているんですよ。
民家を一軒ずつ歩いてまわってみてください。中にも入れて、何世紀もの囲炉裏の煙で黒く燻された本物の木の梁、年代物の機織り機、農具や生活道具が、まるでついさっきまで人がいたかのように並んでいます。小さな池をぐるりとめぐる周遊コースは、ゆっくり歩いて90分〜2時間ほど。冬は屋根にも雪が積もって、日本でも指折りの美しい景色になりますよ。
ここは40kmほど寄り道が必要なので、多くの旅行者が見逃してしまう高山のスポットです。でも、だからこそ行ってほしいんですよ。新穂高ロープウェイは2段に分かれて標高2,156mまで登っていき、屋上が屋根のない展望デッキになっている終点に到着します。そこからは槍ヶ岳、穂高岳、そして北アルプスが地平線いっぱいに連なる、さえぎるもののない眺めが広がります。冬には手をのばしてデッキの手すりから雪をすくえますし、秋には眼下の谷という谷がすべて紅と金色に染まりますよ。
高山からのバスは、山あいの谷沿いの道を約1時間20分。ロープウェイは2段構成で、第1ロープウェイが新穂高温泉から鍋平高原まで、第2ロープウェイが2階建てのゴンドラで山頂までです。下りに向かう前に、頂上で45〜60分ほど過ごしましょう。
夕暮れごろ新穂高から戻ってきたら、駅の近くの地元の居酒屋を見つけて晩ごはんを。ぜひ頼んでほしいのが高山ラーメン。ご当地のスタイルは澄んだあっさり醤油スープで、北海道のこってり味噌ラーメンや九州のとんこつとはまるで別物です。あるいはみたらし豚もおすすめ。高山ならではのタレをからめた豚の串焼きです。駅周辺の居酒屋は三町の中よりお値段がぐっと優しいですし、一日歩いたあとは、ちゃんとした椅子のあるテーブルがありがたく感じられますよ。
高山から50分 · 今も人が暮らす合掌造り111棟 · 集落全体を見下ろす丘の上の展望台 · この旅をまるごと特別にしてくれる日帰り旅
高山駅を早めに出発しましょう。白川郷ゆきの濃飛バスはだいたい1時間に1本、所要時間は約50分です。道中ずっと、けわしい庄川の谷を縫うように走っていきます。運賃は片道¥1,360、往復¥2,600です。このあと金沢まで足をのばす予定なら、白川郷・世界遺産バスきっぷ(高山〜白川郷〜金沢をカバーして¥5,500)が、それぞれ別々に払うより安くなりますよ。
バスに乗っているあいだは、いつでもカメラを出せるようにしておきましょう。谷の渓谷はとても迫力があり、道の何ヶ所かでは、数百m下の谷底を真下に見おろせますよ。
白川郷のメインの集落が荻町集落で、111棟の合掌造りの民家があります。博物館の展示として保存されているのではなく、今も本物の家族が暮らしているんですよ。集落の小道を歩いたら、和田家住宅に入ってみてください。集落の中で公開されている合掌造りのなかでもっとも大きく、もっとも古い家です。中には囲炉裏、手織りの布、三世紀にわたる山の暮らしの農具や生活道具が並んでいます。入場料は¥400です。
白川郷を象徴するあの眺めは、集落の地面からではなく、城山展望台から望むものです。集落の北のはずれの木々におおわれた丘を10分ほど登ったところにあります。ここからは111棟すべての屋根を一度に見おろせ、谷の壁に縁取られた景色が広がります。1月と2月、どの茅葺き屋根にも60cmほどの雪が積もり、夜のライトアップで灯りがともるころは、日本でもっとも写真に撮られる風景のひとつになりますよ。
出発する前に決めておきましょう。高山へ戻りますか、それとも金沢へ向かいますか? 帰りの便が名古屋経由なら、高山へ戻って(約50分)、そこからJR特急ひだで名古屋へ(約2時間30分)。次の旅先が金沢なら、白川郷から金沢駅まで濃飛バスの直通が約75分で走っています。これは日本でも屈指の絶景バス路線で、いわゆる「高山〜白川郷〜金沢ルート」として、旅行者が何十年も親しんできた道なんですよ。
三町エリアと高山駅周辺の通りが、いちばん便利な拠点です。1日目の見どころはすべて徒歩15分以内にあります。古い町並みにある昔ながらの木造の宿(町家の宿)は、お一人1泊¥8,000〜20,000くらいで、たいてい夕食と朝食つきです。宿の選択肢は高山の街ガイドをどうぞ。
名古屋から:JR特急ひだ 約2時間30分 · ¥6,140またはJRパス · 1時間に1本。大阪から:特急ひだの直通 約3.5〜4時間、または夜行高速バス ¥4,600。東京から:まず新幹線で名古屋へ(約1.5時間)、そこからJR特急ひだに乗り換え。高山への直通の新幹線はありません。
古い町並み、朝市、高山陣屋は、どれも駅から歩いてすぐの距離です。飛騨の里や新穂高へは、駅のとなりのバスセンターから濃飛バスを使いましょう。駅では1日¥800〜1,200でレンタサイクルも借りられるので、まちをのんびりまわるのにぴったりですよ。
| 項目 | 節約 | 標準 | ゆったり |
|---|---|---|---|
| 宿泊(1泊) | ¥4,000–7,000 (約£21–37) |
¥8,000–15,000 (約£42–79) |
¥18,000–40,000+ (約£95–211+) |
| 食事(3食) | ¥1,500–2,500 (約£8–13) |
¥3,000–5,500 (約£16–29) |
¥6,000–15,000 (約£32–79) |
| 入場料(1日目) | ¥500 (陣屋のみ) |
¥1,500 (陣屋+屋台会館) |
¥1,500–2,500 (飛騨の里を含む全施設) |
| 新穂高ロープウェイ+バス | —(行かない) | ¥3,300 + バス ¥4,000 | ¥3,300 + レンタカー |
| 1日あたりの合計(目安) | ¥6,000–10,000 (約£32–53) |
¥15,000–26,000 (約£79–137) |
¥28,000–60,000+ (約£147–316+) |
為替レートはおおよその目安です · 料金は季節によって変わることがあります · JRパスは名古屋からの電車をカバーします





