日光はひとつの場所じゃありません。寺社の町、山の上の湖、渓谷の温泉リゾートが、まったく違う方角に点在していて、どのエリアを選ぶかで旅の印象がガラッと変わります。ここでは、正直なところどう決めればいいかをお伝えします。
初めての人がよくハマる落とし穴がこれです。写真がきれいだからと日光のどこかを予約したら、実は山の上で、本当に見に来た東照宮までバスで40分、なんてことに。逆のパターンもあります。町中に泊まったあとで、「やっぱり一晩は湖のそばで温泉に浸かりたかったな」と思うことも。日光は地図上のひとつの点ではありません。いくつもの世界が重なり合った場所で、世界遺産の寺社の町は低いところにあり、湖・滝・温泉リゾートはそれぞれ違う方角の山の上へと登っていきます。
そこで日光を5つの主要エリアに分けてみました。それぞれ向いている旅行者が違い、価格帯も違い、雰囲気も違います。自分が何を目当てに来たかを決めて、ぴったりの拠点を選べば、旅はスムーズに流れます。それからひとつだけ先に。日光は今も生きている信仰の中心地であり、ユネスコ世界遺産です。どこに泊まるにしても、東照宮や二荒山神社の境内には敬意を持って足を踏み入れてくださいね。
まずは見どころの全体像を知りたいですか? 日光の観光スポットガイドや日光シティガイド全編をどうぞ。そうでなく、どこに泊まるべきかの答えがすぐ知りたいなら、このまま読み進めてください。
世界遺産の寺社が主な目的という人にとって、ここは明らかにいちばんおすすめの拠点です。ここからなら、赤い神橋、東照宮の入口、輪王寺、二荒山神社まで、ほんの数分で歩いて行けます。宿泊先も、リーズナブルな川沿いのゲストハウスから本物の歴史的ランドマークまで、あらゆるレベルがそろっています。このエリアに泊まった人が口をそろえて挙げる魅力がひとつ。それは、ツアー客が来る前の朝7時、赤い橋のまわりの杉林が朝の光の中で完全に静まり返っているなか、寺社の境内にいられること。みんながいちばん心に残ると言う、旅のハイライトです。
このエリアの中心となるホテルといえば、Nikko Kanaya Hotel。1873年創業、日本最古の西洋式ホテルで、神橋のすぐ上の丘の中腹に建ち、寺社の門までは歩いて数分です。
日光シティガイド全編を見る →各エリアの正直な雰囲気・料金・アクセスを、今そろっているレビュー付きの実在ホテルとあわせて紹介します。
エリア1
向いている人:おもに世界遺産の寺社が目当てで、大事なものは全部歩いてまわりたい人。このエリアからなら、神橋・東照宮・輪王寺・二荒山神社まで歩いて行けて、人混みが来る前に散策に出られます。駅まわりの通りにはレストランやクラフトショップ、カフェがあります。正直なデメリットは、多くのお店が早め(午後6時ごろ)に閉まるので、夜の町は静かなこと。
エリア2
向いている人:湖と山を眺めながら温泉に浸かりたくて、山の上まで上がる時間(1泊以上)がある旅行者。中禅寺湖の湖畔にはリゾートや温泉旅館が立ち並び、目の前には男体山、すぐ近くには高さ97メートルの華厳の滝があります。秋(10〜11月)は、日光全体でもここがいちばん圧巻の季節。正直なデメリットは、夜はとても静かでホテルの外には食事できる場所がほとんどなく、町よりはっきり寒いこと。
エリア3
向いている人:川を望む客室、いろいろなお風呂、懐石ディナー込みの、本格的な旅館体験をしたい人と、お子さん連れのファミリー。日光近郊で最大の温泉街で、鬼怒川の渓谷沿いに80軒を超える旅館やホテルが立ち並びます。すぐ隣には江戸ワンダーランド(江戸時代の村)や東武ワールドスクウェアといったテーマパークも。デメリットは、寺社とは別の路線なので、ここまで上がるには違う電車に乗ること。
エリア4
向いている人:本気で日常から離れたい人。寺社をめぐるより、本物の硫黄泉に浸かって湖のまわりをハイキングしたい人。湯元は奥日光のいちばん奥、湯ノ湖のほとりにあります。数軒の旅館と、地面から温泉が湧き出す湿原だけの小さな集落で、お湯は白濁したしっかりとした硫黄泉です。正直なところ、ここは道の終点。人里離れていて静かです。便利さを求めてではなく、ゆっくり休むために来る場所です。
エリア5
向いている人:予算を抑えたい旅行者、到着が遅くなる人、そして次の目的地へ移る前に日光を1日だけの拠点に使う人。駅まわりにはゲストハウス、ホステル、手ごろなビジネスホテルが集まっていて、電車へのアクセスがよく、坂道で荷物を引きずる必要もなく、朝も山あいへのバスや鬼怒川への電車にさっと乗れます。大谷川沿いの小道(憾満ヶ淵近くの匠町など)にも、寺社まで歩けて値ごろであたたかい宿があります。
コストを抑えたいなら、Turtle Inn Nikko は1泊 ¥6,000 ほどから。立地のよい家族経営のゲストハウスで、寺社まで徒歩圏内、貸切温泉があり、英語を話すオーナーのサービススコアは 9.6/10 と、この価格帯ではなかなかありません。町の中心で物語のある宿に泊まりたいなら、Nikko Kanaya Hotel(1泊 ¥20,000 ほど)は、かつてアインシュタインも滞在した歴史あるホテルです。
温泉を目当てに来ていて、最高の体験のためならお金を払ってもいいという人には、中禅寺湖の The Ritz-Carlton, Nikko(1泊 ¥80,000 ほどから)が、湖のほとりに天然温泉を備えた5つ星リゾートです。宿の全リストは日光シティガイドでどうぞ。