時間がほとんど止まったような江戸時代の古い町並み — でも、グルメは少しも古びていません。目の前で焼く飛騨牛、醤油だけで砂糖ゼロのみたらし団子、朴葉味噌、そして何百年も続く町家で醸す地酒が待っています。
高山は、中部地方で一番「食べてよかった」と思える町かもしれません — ミシュランの星がたくさんあるからではなく、ここにあるものすべてに正直なルーツがあるからです。飛騨牛(飛騨牛)の牛は、生涯を日本アルプスの高原の牧草地で過ごし、一頭一頭に血統をたどれる個体識別番号付きの証明書が付いています。団子に使うお米は、一年を通して涼しい空気がただよう飛騨の谷で育てられたもの。三町筋に今も残る6つの酒蔵で造られる地酒は、飛騨山脈をくぐり抜けた湧き水のミネラルを含んでいます。
高山のグルメは、東京的な意味での豪華さはありません — でも、他にはない「ここだけ」の味です。乾燥させた朴葉の上で焼く朴葉味噌は、ガスコンロが普及するずっと前から飛騨の人たちが使ってきた調理法。ここのみたらし団子には甘さがまったくありません — 醤油と炭火の熱だけ。京都の甘い団子を食べて「甘すぎる」と感じたことがあるなら、高山版があなたの常識をまるごと塗り替えてくれます。私たちは、この町の物語を一番いきいきと伝えてくれる7品を選びました。地図なしでも回れる1日食べ歩きプラン付きです。
朝市のおやつから、ゆっくりの夕食まで — おおよそ1日の流れに沿って並べています。
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これまで食べてきたみたらし団子を思い浮かべてみてください — たいていは濃くて甘い茶色いたれにたっぷり浸かっていますよね。高山版は、いい醤油を刷毛で塗って炭火で焼くだけ。仕上がりはしょっぱくて、ほんのり香ばしく、とてもシンプルです。団子の表面はわずかに焦げ目がつくくらいで、中のご飯はやわらかくもちもち。お店の人がまだ炭火をあおいでいる間に、串から取って焼きたてを食べる — それが一番おいしい瞬間です。1本¥100〜200で、古い町並みで一番コスパのいい一口ですよ。
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飛騨牛は日本で一番安い和牛というわけではありませんが、牛が育てられ、認定もされている高山で食べるのは、東京のデパートで買うのとはまったく違う体験です。飛騨牛の筋肉内の脂は37℃以下で溶けるので、噛む前から口の中でとろけてしまうほど。注文する前に、お店の看板に公式の金色の飛騨牛認定シールがあるか確認してくださいね。一番手軽に試せるのは、目の前で焼いてくれる牛串(¥600〜800)、飛騨牛コロッケ(¥200〜350)、または飛騨牛にぎり寿司を1貫(¥200〜400)。ご飯とお吸い物付きのしっかりした定食は¥1,500〜4,000です。
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朴葉(ほおば)とは、飛騨の人たちが何百年も天然の調理器具として使ってきた、大きな乾燥した朴の葉のこと — 山あいの村に鉄鍋が普及するずっと前からの知恵です。この葉を水で戻して小さな炭火コンロに乗せ、その上に味噌を広げて、きのこ、ねぎ、旬の山菜と一緒に焼きます。味噌が温まるにつれて、葉がほんのりと木の香りを移し、料理全体を引き立ててくれます。多くのお店では飛騨牛の薄切りを加えて味噌の中で焼くのですが — 脂が溶け出して発酵した味噌と混ざり合う様子は、家ではとても再現できません。ゆっくり腰を据えて味わう価値のある一品です。
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地元の人はこれを中華そば(中華そば)と呼びます — この地域では「ラーメン」という言葉より古くからある呼び名です。スープは、豚骨や鶏ガラを昆布とともに煮込み、醤油を控えめに利かせた、透き通った琥珀色。重たく感じずにスープとして飲めるほどあっさりしています。細い麺、チャーシュー2枚、メンマ、ねぎ。それで全部です。小細工はありません。わざわざ探して食べる価値があるのは、その水 — 飛騨の山の湧き水が、スープに澄んだ透明感とすっきり感をもたらしていて、日本の他の場所でこってり系のラーメンを食べてきた人なら、ひと口でその違いに気づくはずです。
五平餅は飛騨で最も古い食べ歩きグルメのひとつ — 粗くついたご飯を平たい楕円形にして串に押し付け、外側が少しカリッとするまで炭火で焼き、くるみペーストと味噌で作った甘じょっぱいたれを塗ったものです。たれが炭火で焦げる香ばしい匂いが、三町筋のかなり遠くまで漂ってきます。ご飯は少しもちっとしていて、外側はほどよくカリッ、くるみ味噌だれは濃厚だけど甘ったるくありません。酒蔵めぐりの合間、午後のおやつにぴったりです。安川通りの寿々蘭では1本¥400。
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高山にはかつて60を超える酒蔵がありました。今残っているのは6つ — そのすべてが、今も歴史ある三町筋の地区にあり、中には築200〜400年の建物もあります。飛騨の地酒は、あっさりして香り高いタイプが多めです。寒い山の気候のおかげで発酵がゆっくり丁寧に進むため、温暖な地域のお酒より吟醸香(フルーティーで華やかな成分)が多く生まれます。6つの酒蔵はどこも予約不要 — ふらっと入って、試飲の看板を探し、一番辛口から始めて甘口へと進んでいきましょう。気に入ったものが見つかったら、小さな180mlのボトル(¥600〜1,200)をお土産に買って帰るのもいいですね。
7
この朝市は300年以上続いていて、出店できるのは仲買人ではなく実際の農家だけと決められています。それが実際にどういうことかというと — かぶの漬物を売っているおばあちゃんは、それを自分の家で漬けたということ。黄色い木箱のりんごは、2日前に木からもいだものだということです。宮川沿い350メートルに約60の露店が並び、新鮮な野菜、飛騨りんご、自家製の味噌や漬物、山の蜂蜜、地元の工芸品、それに団子や飛騨牛コロッケといった食べ歩きグルメが売られています。川面に差す朝の光と、ひんやりした山の空気のなかで過ごすこの時間は、日本でのどんな一日も最高に気持ちよく始められる方法のひとつです。
このリストにあるものは、すべて高山の古い町並みから歩いて行けます。車もバスも必要ありません。
2つの朝市のうち大きいほうの宮川朝市からスタート — 熱々のみたらし団子の串と、近くの露店で温かい緑茶か山の蜂蜜レモンを1杯どうぞ。350メートルの道のりをゆっくり歩きながら、漬物や飛騨りんごを覗いてみてください。それから川を渡って陣屋前朝市へ。こちらは小さめで、もっとアットホームな雰囲気です — 具を自分で作った農家の飛騨牛コロッケもぜひ。予算:¥300〜600
人がまだ少ないうちに三町筋へ。朝ごはんに、炭火焼きの露店で五平餅を見つけましょう — 1本でちょうど小腹を満たせます。もっとお腹が空いていたら、目の前で焼いてくれる飛騨牛串も追加で。船坂酒造所や原田酒造場に立ち寄って朝の試飲を。この時間帯のスタッフはのんびりしていて、いろいろ教えてくれることが多いですよ。予算:¥1,000〜2,000
中華そばは、高山ランチの大正解です。午後に響くほど重くなく、夕食まで歩き続けられるくらいの満足感。三町のえびすそばは、このレシピを一世紀以上守り続けています。桝形屋は、平日なら行列が短めのいい代替候補。席が空いていればカウンターで食べてみてください — 厨房の様子が見られますよ。予算:¥800〜1,200
午後は2軒目の酒蔵にぴったりの時間 — 平瀬酒造店の¥500で30分のセルフ注ぎは、いろんなタイプを一気に飲み比べたいなら立ち寄る価値ありです。そのあと、露店でもう1本みたらし団子の串を食べて、しょっぱい・甘いの味のコントラストで締めくくりましょう。三町の裏通りをゆっくり歩けば、格子の木組みの町家が静かにたたずんでいて、写真映えもしますよ。予算:¥700〜1,200
1日の締めくくりは、すずやの朴葉味噌で。お店がテーブルに小さな炭火コンロをともし、その上に乾燥朴葉を乗せて、味噌、きのこ、ねぎがすでに並べられて出てきます。予算が許すなら飛騨牛入りを注文してみてください。A5和牛の薄切りが、味噌のなかで2分ほどで火が通ります。飛騨の白いご飯、味噌汁、漬物を添えて召し上がれ。これこそ、帰ってから人に話したくなる一食です。予算:¥1,800〜3,500
高山は全部歩いて回れるほど小さな町です — でも、それぞれのエリアが何を得意としているかを知っておくと、計画が立てやすくなります。
高山の食べ歩きの中心地。3つのメインストリートに、団子の露店、五平餅の炭火焼き、飛騨牛の屋台が並びます。船坂酒造場と原田酒造場は、お互い徒歩5分以内。ほとんどの露店は16:00〜17:00には閉まるので、この一帯は夕方遅くなる前に回りましょう。
2つの朝市のうち、よりにぎやかなほう。川岸に沿って350メートル続きます。新鮮な野菜、漬物、自家製の味噌、飛騨りんご、山の蜂蜜、工芸品、そして朝のおやつを販売。毎日お昼に閉まるので — 品ぞろえを狙うなら9:00前に。
宮川朝市より小さくて、もっとアットホーム — ここは、農家さんが自分の畑から直接やって来る場所です。雰囲気はより静かで、会話もより身近。自家製の漬物や、その場で食べる旬の山菜を買うのにぴったりです。
三町と駅の間にある商店街で、地元のお店が並びます。なかでも寿々蘭は、みたらし団子と五平餅の両方を1か所で売っているお店。名古屋へ帰る電車に乗る前に、食べ物のお土産で締めくくるのにぴったりです。
リピーターも地元の人も、迷わずおすすめしてくれるお店たちです。
高山で座って食べる食事を1回だけ選ぶとしたら、経験豊富な人の多くはここを指します。すずやは各テーブルで炭火コンロをともし、その上に旬の野菜を乗せた朴葉味噌を出してくれます — 食べながら、調理のすべてが目の前で進んでいきます。飛騨牛版なら、A5の薄切りを加えて味噌のなかで火を通します。ご飯は地元飛騨のお米、漬物は自家製で、ペースもゆったり。4月や10月のお祭りの週は、事前に予約をしておきましょう。
船坂は、建物の脇を小川が流れる古い町並みの一角にあります — 2階建ての木造建築は、この2世紀ほとんど姿を変えていません。試飲室は予約なしで入れて、無料で試せるお酒もあり、3種の利き酒セットは¥500。ここのお酒はあっさりして華やかなタイプが多く、こってりした飛騨のグルメと相性ぴったりです。小さな180mlのボトル(¥600〜1,200)は、気の利いたお土産になりますよ。
高山で現在営業している最古の酒蔵で、本格的な利き酒体験のコスパとしてはおそらく一番。¥500で30分間、約30種類のボトルから自分で注ぎ放題です。看板酒の久寿玉は、地元飛騨のお米と山の湧き水から醸され、すっきりとして上品に香る大吟醸タイプ。スタッフはお酒に詳しく、初めての人にも辛抱強く付き合ってくれます — 利き酒が初めてなら、最初の一軒におすすめです。
この町で今も中華そば(高山ラーメン)を出し続けている最古のお店のひとつで、歴史的な保存地区のなかの黒い木造の建物にあります。レシピは昔のまま — 透き通った琥珀色のスープ、細い縮れ麺、チャーシュー2枚、メンマ、ねぎ。天ぷらとそばのセットは¥1,700で — 一世紀前の高山の味を今に伝える一食としてはお得です。昼のみの営業。繁忙期は13:00前に行かないと満席になっていることがあります。