別府の温泉はひとつではありません。なんと8つもあるんです。別府八湯の各地区は、湯けむりの色も、湯の匂いも、お風呂のスタイルも、雰囲気もまったく違います。誰にどこが合うのか、本音でわかりやすくお伝えします。
街の側溝や屋根、路地のパイプから、いつも湯けむりが立ちのぼる街を想像してみてください。特別な演出ではなく、ただの火曜日の朝の光景です。それが別府。毎日13万キロリットル以上もの温泉が湧き出し、地熱の湧出量では、イエローストーンに次いで世界第2位なんです。
多くの旅行者が見落としているのは、別府が「ひとつの湯どころ」ではないということ。8つの温泉地区 — 別府八湯(べっぷはっとう) — があり、それぞれ泉質も、雰囲気も、宿のタイプも違います。どこを選ぶかで、旅全体がガラッと変わります。
地区を選ぶ前に知っておくと役立つのが、別府にはよそではなかなか味わえない4種類の温泉体験があるということ。観光・旅程ガイドの詳細は別府の観光スポットをご覧ください。
地区を選ぶ前に、どんな種類があるか知っておきましょう。特定のエリアでしか体験できないものもあります。
定番のお風呂。ミネラル豊富な40〜44℃の熱いお湯につかります。どの地区でも入れます。共同浴場(銭湯)なら100〜¥300という安さ。
横になって、地熱で温められた砂(約45℃)に首まで埋めてもらいます。全部脱ぐ必要はありません。亀川と竹瓦温泉がおすすめで、約¥1,500。
自然に白く濁ったミネラルたっぷりの泥に、やや低めの温度(約38〜42℃)でつかります。硫黄分が多く、お肌に人気。明礬の露天風呂がおすすめで、内湯と露天が選べます。
床から立ちのぼる地熱の蒸気で温められた部屋に座ったり横になったり。お湯につかるわけではありません。鉄輪がいちばん風情があり、地獄蒸し(蒸し料理)も同じ流れで楽しめます。
細い路地を歩けば、両側の鉄パイプから湯けむりがシューッと噴き出し、ほのかに硫黄の匂いが漂い、角を曲がればとろとろの温泉卵を売る蒸し場がある。それが鉄輪です。この地区は別府全体の湧出量の約38%を占めていて、あなたが見たことのある「湯けむりの街」のポストカードは、すべてここが原点。地獄めぐりのエリア(地獄)も、ほとんどの旅館から歩いて行けます。
旅館「かんなわえん」は、まさにここ、45,000平方メートルの庭園の中にあります。コバルトブルーの貸切風呂、懐石料理の夕食付き、374件のレビューで9.4/10。1名1泊約¥31,400から。
別府グルメガイド — ここで何を食べる? →各地区の泉質、雰囲気、アクセス、そして実在ホテルのおすすめをご紹介。
第1地区
泉質と雰囲気:塩化ナトリウム泉で、ほぼ無色〜淡い青色、源泉は80〜95℃。どの路地にも湯けむりの噴気口が並びます。この街並みは日本の重要文化的景観に指定されています。歩いて行ける範囲にいくつもの地獄(地獄池)があり、地獄蒸しの蒸し場もこの界隈ならではの体験。
こんな人に:初めて訪れるすべての人。とくに湯けむりの雰囲気の真っただ中で旅館に泊まりたいカップルに。
価格帯:1名1泊、食事付きで15,000〜¥31,400以上。
第2地区
泉質と雰囲気:館内に温泉を備えたホテルが集まる街なかのハブ。炭酸水素塩泉で、お肌にやさしくまろやか。レストラン、ショッピング、フェリー、そして街のほかのエリアへのアクセスも抜群です。
こんな人に:手軽さ重視の初めての人、1〜2泊の短い旅、ひとり旅、初日の夜は遠い山あいよりも食事処の近くで過ごしたいファミリーに。
価格帯:1泊3,000〜¥15,000 — 市内でいちばん幅広い価格帯。
第3地区
泉質と雰囲気:街を見下ろす高台にあり、眼下に別府湾が広がります。塩化ナトリウム泉と炭酸水素塩泉のブレンドで、やわらかく体が温まる湯。Suginoi Hotel(5層の棚湯、アクアガーデン)や ANA InterContinental(インフィニティプール、HARNNスパ)があるエリアです。こぢんまりとした旅館というより、本格的なリゾート施設。
こんな人に:眺めを楽しみたいカップル、ファミリー、本物の温泉とリゾートの設備を手ごろな価格で両方楽しみたい人に。
価格帯:1泊18,000〜¥35,000以上。
第4地区
泉質と雰囲気:湯の花(ゆのはな)で有名 — 伝統的な茅葺き小屋の中でできる天然の硫黄結晶です。その製法は日本の文化遺産(重要無形民俗文化財)に指定されています。硫黄泉(白濁、乳白色)。入浴後はお肌がはっきりつるつるに。地区は山の上にあり、静かでのんびりした雰囲気。
こんな人に:ポストカードのその先を求める旅人。職人技や本物の温泉文化を大切にする人。にぎわいよりも静けさを求めるカップルに。
価格帯:1名1泊12,000〜¥22,000(小さな旅館)。
第5地区
泉質と雰囲気:松林に包まれた、別府の北のはずれ。血の池地獄(酸化鉄で赤く染まった湯)と龍巻地獄(30〜40分ごとに噴き出す間欠泉)があります。古い記録には、古来より朝廷の人々が湯治に訪れたとも残っています。遊歩道の散策と温泉浴の組み合わせがぴったりのエリア。
こんな人に:鉄輪の地獄めぐりを済ませて、もう一歩先へ行きたい人。散策と温泉を一緒に楽しみたい人に。
価格帯:多くの人は鉄輪か別府駅から日帰りで訪れます。
第6地区
泉質と雰囲気:開発の中心が駅周辺に移る前は、かつての街の中心でした。明治・大正の歓楽街の面影が今も残ります。古い木造の浴場、地元の銭湯、そして昔ながらの街路。質のよい共同浴場の塩化ナトリウム泉が、なんと¥110から — 別府でいちばんコスパのいい湯のひとつです。
こんな人に:歴史や建築が好きな人。写真好き。観光地価格ではない、地元ならではのお風呂を味わいたい人に。
価格帯:大型ホテルはありません。駅周辺に泊まって、半日訪れるのがおすすめ。
第7地区
泉質と雰囲気:北の海沿いの地区で、市内随一の砂湯が浜辺にあります — 横になって、地熱で温められた黒い砂に係の人に埋めてもらいましょう。内湯は無色透明の塩化ナトリウム泉。古くは、海路で北部九州からたどり着いた旅人の玄関口として栄えました。
こんな人に:とにかく砂湯を体験したい人。うみたまご水族館に行くなら便利です。
価格帯:小さなホテルやゲストハウスが1泊5,000〜¥12,000から。
第8地区
泉質と雰囲気:8つの中でいちばん奥まった場所にあり、長旅で疲れ果ててたどり着いた旅人の保養地として、江戸時代から栄えてきました。豊富な塩化ナトリウム泉で、鉄輪よりやや低めの温度 — のんびり長湯するのにぴったりです。人混みもなく、観光バスも来ません。
こんな人に:本当に日常から離れたい人。3泊以上のゆったりした旅程。病み上がりや疲れをとる湯治に。
価格帯:小さな旅館が1名1泊10,000〜¥20,000から。
別府湾の眺め、5つ星IHGのスパ、屋上のインフィニティプールが欲しいなら、答えはANA InterContinental Beppu(9.5/10 · 1泊¥35,000から)。湯けむりの街なかで、旅館・懐石・貸切温泉という王道の体験を求めるなら、かんなわえん(9.4/10 · 食事付きで1名¥31,400から)が文句なし。子どもがいくつもの温泉プールやアクアガーデンを巡って楽しめる大型リゾートがいいなら、Suginoi Hotel(8.9/10 · 1泊¥18,000から)がぴったりです。
温泉だけが別府のすべてではありません。別府のご当地グルメといえば、とり天(大分ならではの鶏の天ぷら)、地獄蒸しの野菜や卵、そして旬のふぐ。詳しくは別府グルメガイドをどうぞ。