日本初の国際貿易港として1859年に世界へ開かれた横浜は、その国際色をいまも変わらずまとい続けています。丘の上のヨーロッパ風洋館、明治の赤レンガが並ぶ港、日本最大の中華街、そして東京からの日帰り客の多くが見逃してしまう穴場の庭園 — そのすべてが渋谷から30分圏内にあります。
横浜は、つい過小評価されがちな街のひとつ。「東京の郊外」と片づけて素通りされてしまうことも多いですが、それはもったいない。1859年に日本が開港を迫られたとき、横浜はアメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・中国の商人たちが最初に上陸した場所で、彼らが残した文化の層を、いまも歩きながら感じることができます。
かつては税関の倉庫で、いまは週末にマーケットが開かれる明治の赤レンガ倉庫から、海沿いを大さん橋まで歩いてみましょう。波打つような木製の屋上は無料で、24時間いつでも開放されています。内陸へ向きを変えれば、肉まんの香りに誘われて中華街へ。600軒近いレストランや店が集まる日本最大の中華街です。2日目があるなら、三溪園はぜひ。本当に人を驚かせてくれる数少ない場所のひとつで、京都や鎌倉から移築された歴史的建造物が点在する約53haの私庭園。平日の朝はほとんど人がいません。この街の物語をまるごと伝えてくれる10ヶ所を選びました。
インスタ映えの数ではなく、体験そのもので順位づけしました。それぞれの場所が実際に何を味わわせてくれるのか、正直にお伝えします。
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みなとみらい駅を出ると、街が目の前に広がります。広々とした現役の港、高さ296mのランドマークタワー、ライトアップされた巨大な観覧車、そして湾を背に並ぶクルーズ船。みなとみらいはかつての三菱造船所の埋立地につくられた街で、エリア全体がのんびり歩いて楽しめるよう設計されています。ショッピングアーケード、海沿いのレストラン、カップヌードルミュージアム、そして赤レンガ倉庫や大さん橋までシームレスにつながる海辺の遊歩道。午後から動き出せば、いちばんいい夕暮れの光と、日が落ちてから少しずつ灯っていくスカイラインの両方を楽しめます。
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日本最大の中華街は、1860年代に広東や上海の商人たちが港の近くに住み着いたことから生まれ、その活気をいまも失っていません。600軒近いレストラン、茶館、店が10ブロックにひしめき、赤と金で彩られた10基の華やかな牌楼(門)が街を縁取ります。ここで食べるべきは肉まん。1個¥200〜350で、メインストリート沿いの店頭で売られ、歩きながら頬張るのが定番です。本格的な点心や中国スイーツ、何十年も続くタピオカミルクティーの店も見つかります。一日中にぎやかですが、夕方には提灯が灯って雰囲気ががらりと変わります。空いているのは日中、ドラマチックな雰囲気を味わうなら夜がおすすめです。
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横浜がほかのどの日本の都市とも違って感じられる理由を知りたいなら、まずはここへ。この2棟の赤レンガ倉庫は、外国船で届く荷物を保管するために1911年と1913年に建てられたもの。厚い壁、アーチ型の窓、無骨な鉄の金具は、当時のままの趣を色濃く残しています。現在は約50の店やレストランが入っていますが、本当の見どころは前に広がる海辺の広場。港を正面に望み、片側にランドマークタワー、もう片側に大さん橋を眺めながら、一年を通じて屋外イベントが開かれます。12月のクリスマスマーケットは日本でも指折りの規模。敷地への入場はいつでも無料です。
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これが何の建物なのか気づく前に、思わず何十枚も写真を撮ってしまう場所です。波打つ長い木製デッキがゆるやかな丘のように水上へとせり出し、その先端まで歩けば、みなとみらいのスカイライン全体が目の前に広がる岬に立つことになります。ランドマークタワー、コスモクロック21、赤レンガ倉庫、ベイブリッジ — すべてが一枚に収まります。このターミナルはロンドンを拠点とする建築家アレハンドロ・ザエラ=ポロとファルシッド・ムサヴィが設計し、2002年に開業しました。現役のクルーズターミナルですが、屋上は無料で24時間開放されており、横浜でいちばん素晴らしく、そしてあまり知られていないビュースポットのひとつです。地元の人たちは夕方、ただ灯りがともる様子を眺めにここを訪れます。
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山下公園は、横浜の人たちが特に予定もなく散歩に出かける、そんな場所です。湾沿いに700mにわたって芝生と花壇が続き、海に面したベンチ、長く愛されている噴水の彫刻「水の守護神」、そしてすぐそばに係留された氷川丸の堂々たる姿が見られます。氷川丸は1930年代の日本の客船で、1960年まで横浜〜シアトル航路を就航し、いまは博物館船として公開されています(乗船¥300)。公園は海沿いの遊歩道で、一方は大さん橋まで、もう一方は中華街までつながっていて、一度も電車に乗らずにこの一帯を歩き通せます。
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三溪園は、多くの旅行者が見逃してしまう場所であり、横浜でいちばん意外性のあるスポットといってもいいでしょう。この庭園は、生糸商人の原三溪が明治時代に本牧地区の約53haの土地につくり上げたもの。京都・鎌倉・和歌山から移築した10棟以上の歴史的建造物 — 仏堂、農家、茶室、そして中央の池に映る三重塔 — を配し、その澄んだ佇まいは、ここが人口370万の日本の大都市だとは思えないほどです。見どころは、臨春閣、旧燈明寺の三重塔、そして古い建物が本当に時を忘れさせてくれる内苑。桜は3月下旬から4月、紅葉は11月いっぱいが見頃で、どちらの季節も人は集まりますが、混雑で落ち着かないということはありません。
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お昼ごはんを手に出てこられる博物館はそう多くありませんが、ここはまさにそのひとつ。安藤百福が1958年にインスタントラーメンを発明し、その功績をたたえて横浜に建てられたこの博物館は、想像以上に楽しめます。いちばんの目玉はマイカップヌードルファクトリー。4種類からスープのベースを選び、12種類のトッピングから4つを選んでカップに入れ、フタを閉じれば、自分だけのオリジナルラーメンを持ち帰れます。料金は入館料とは別に一律¥500。ほかにも、インスタントラーメンの歴史をたどる展示(思いのほか引き込まれます)、生地をこねて麺を一から手作りするチキンラーメンファクトリー(¥500、要予約)、1971年の元祖をテーマにしたギャラリーもあります。家族連れ、ひとり旅、カップル、それぞれが違う理由で楽しんでいるようです。
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コスモクロック21は、その由来を知るともっとおもしろくなるランドマークのひとつ。1989年に世界一の高さの観覧車として誕生し(その称号はとうに譲りましたが)、本当の見どころは外周をぐるりと走る緑色のLED表示。実際の時刻を表示し、高さ112mの「時計」として機能しています。周囲の遊園地・コスモワールドは入園無料で、乗り物ごとに料金を支払う仕組みです。観覧車は1人¥700で、一周に約15分。港を見渡せて、晴れた日には三浦半島の方まで眺められます。ほかにも、ウォーターコースターや家族向けのダークライドなどがあります。施設全体が海辺にあるので、赤レンガ倉庫とカップヌードルミュージアムの間を夕方に散歩するついでに気軽に立ち寄れます。
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元町は、丘の上の山手に暮らす外国人コミュニティのために発展した600mのショッピングストリート。その歴史は店の規模や雰囲気に表れていて、チェーン店よりも個性的なブティック、パティスリー、職人による品々が中心です。端から端まで歩いたら、どれかの坂道を上ってみましょう。5分も歩けば、まったく違う時代に迷い込んだような気分になります。横浜外国人墓地には、42ヶ国の住人の墓が約4,200基。街を見下ろす静かな斜面に広がり、週末の10時〜17時に公開、入場無料(寄付歓迎)です。そこからもう少し歩けば港の見える丘公園へ。夕暮れに眼下へ広がるみなとみらいは、横浜でも屈指の眺めです。
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マリンタワーは1961年から山下公園のそばに立ち続けていて、赤と白のストライプの塔は横浜の港の写真に欠かせない存在です。29階の展望デッキ(大人¥1,000)からは、山下公園、氷川丸、湾の入口がくっきりと見渡せ、空気の澄んだ冬の日には遠くに富士山のシルエットも。超高層ビルの展望台ほど劇的ではありません — これは300mのタワーではなく106mの灯台ですから — でも、その親しみやすいスケールこそが魅力。港に浮かぶ船の名前が読めて、湾の向こうの観覧車のゴンドラを数えられるほどの近さです。山下公園のすぐ隣にあるので、海沿いの散歩や氷川丸の見学と自然に組み合わせられます。
横浜はコンパクトな街。主な見どころは、歩いて移動できる2つのエリアにまとまっています。
赤レンガ倉庫、大さん橋、コスモワールド、カップヌードルミュージアム、山下公園は、いずれも歩いて20〜30分の範囲に収まっています。渋谷から東急東横線でみなとみらい駅まで直行し、そこから歩いて回りましょう。お昼すぎに到着すれば、夕暮れの海辺の光が訪れる前に屋内施設を回る時間も取れます。
中華街、元町ショッピングストリート、外国人墓地、港の見える丘公園は、いずれも元町・中華街駅から歩いて回れます。山下公園から中華街へは、海沿いの道を平坦に5分歩くだけ。電車は要りません。
三溪園はみなとみらい線の沿線から外れていて、バスで15分ほどかかります。平日に早めに動き出す価値あり。開園(9時)に合わせて行けば、最初の1時間は内苑をほぼ独り占めできるかもしれません。桜の季節(3月下旬〜4月)と紅葉(11月)がいちばん見事ですが、どちらも人出は多めです。
横浜は東京からの日帰りにぴったりです。渋谷を10時に出れば10時30分にはみなとみらいに到着し、みなとみらいと中華街の主なエリアをゆっくり回ってから、夕食には東京へ戻れます。宿泊するなら、ホテルの選択肢は横浜シティガイド →をどうぞ。